決算を行う場合、必ずしなければならない作業の一つに期末現在の商品等の棚卸し作業があります。
それは、その事業年度で仕入れた商品が、全て売れていればその仕入金額が売上原価となります。しかし通常は、仕入れた商品の一部が店頭や倉庫に必ず在庫として残されているものです。この在庫商品はまだ売れていない商品ですので今期の経費とはならないものであります。そのため事業年度終了の日の在庫金額を当期の仕入金額からマイナスすることによって、当期の売上にかかる売上原価を計算することとなります。
売上原価の計算方法は、次のとおりです。
当期の売上原価=①期首棚卸高+②当期商品仕入高―③期末棚卸高
たとえば、
今年度(1月1日)の初めに店頭や倉庫にある商品を調べたら100万円(①)
今年一年間(1月1日〜12月31日)に仕入れた当期仕入額は1100万円(②)
決算日(12月31日)に店頭や倉庫にある在庫を調べたら300万円(③)
今年度(1月1日〜12月31日)の売上金額は1500万円
とした場合、
1500万円の商品の売上にかかる原価は、900万円(①+②−③)となります。
すなわち、600万円の粗利益④(1500万円−900万円)を稼いだことになるわけです。
ここで問題になるのが、③の金額の出し方。
当然、期末にある商品の数を実際に調べて、その商品の単価をかければ算出できるわけですが、その際の単価をいくらにするのかがもっとも重要となります。
商品は、定期的に仕入れてそのたびに購入単価が同じとは限りません。ましてや、原油価格高騰の現在値段が上がる商品も多く見られます。
税法では、特別に税務署に届け出をしていない場合については、「最終仕入原価法」と言う方法で計算することになります。
これは商品種類ごとに最後に仕入れた仕入単価をもって期末在庫の評価単価とする方法で、とても簡単に計算できる方法ですが、理論的根拠は乏しいといわざるを得ないものです。ただ、理論的には問題があっても、税務上は原則的な評価方法なので、ほとんどの企業はこの最終仕入原価法を採用しているのが現状です。
たとえば上記の場合(全て同じ商品のみと仮定)、
① 期首在庫   100万円 (     125個 × 8000円)
② 当期商品仕入1100万円 ( 2月に 500個 × 8000円、8月に 500個 × 9000円、
                        12月に 250個 ×10000円 ) 
③ 期末在庫は、300個のケース。
期末の300個は、最後に仕入れた単価の10000円として計算する方法が、最終仕入原価法で評価した答えとなります。
実際に10000円で仕入れた商品は現実的には250個しかないのに300個全てを最後の仕入れ単価10000円で計算することになるので、300個のうちの50個については本来よりも高い価格での評価という結果になります。
この場合、最終仕入原価法を採用することにより③の金額が本来よりも高い金額で計算されるため、④の粗利益は本来よりも高い金額となることになります。
本日は、6月決算のお客様企業へスタッフと共に訪問し決算説明をさせていただいたわけですが、最終仕入原価方による弊害(仕入単価が上昇している商品の場合は高めの在庫計算となり実力以上の利益となるのに対し、仕入単価が下落している商品の場合は低めの在庫計算となり実力以下の利益となる)を説明させていただくとともに、決算書に現れている利益が本来の実力と乖離しているであろう金額も概算で説明。
本当の実力を理解いただくことによって、来期の利益計画の策定も可能となるというものですね。

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