モノを売るのか、コトを売るのか

お盆休みの間に、ある品物の購入を検討するために、複数の店舗にお伺いさせていただきました。
よく目にしているつもりでしたが、いざ初めての購入となると、何にも知識が無く、何を聞いたらいいのか、品物のどこを見たらいいのか、さっぱりわからない状態でした。
そんな私の動きを見て、そっとしておいてくれる店員さん、はたまた、どんどんと自分のペースに巻き込んで営業トークで売り込んでくる店員さん、本当に、お店の違いや店員さんの違いを感じた次第。

そんななか、とあるお店の男性スタッフからお声がけいただき、
「きっと、ご覧になるのは初めてですよね？眺められている動きや、品物の見方を見ていてそう感じました。本当に善し悪しを見るなら、その方向からではなく、こういう角度で、こういう所を・・・」
と、懇切丁寧に、初心者の私にレクチャーして下さいました。何店舗か回った後だったのですが、そんなお話しをして下さったのは、この方が最初でした。
そして、品物の説明をするのではなく、何のためのものか、どういう意味があるのか等々、私が氣にしていることや氣づいていなかったことを、こちらの理解のペースにあわせて、ゆっくりと説明して下さいました。本当に目からウロコの貴重な時間をいただきました。

そして、とうとう最後まで商品の売り込みなどはなく、
「あわてないで、色々なところをたくさん回って、本当に自分自身が納得できる品物に出会ったら、そこでお買い求めになって下さい。生涯お付き合いする大事な物ですから。そのご縁がもしウチだったら本当にうれしいですが。でも、決して安易な妥協はダメですよ。お買い求めいただいてから、ずっとご縁が続くものですから。私は、目に見えるこのモノを販売させてもらってはいますが、実際に販売しているのは、お客様のこれからの大事な時間のお手伝いだと思っています。」
と、お話ししていただき、優しく見送っていただきました。

自分自身の仕事に対する向き合い方について、今一度考えるきっかけをいただいた、すてきなお盆休みでした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西丸保幸

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